INTERVIEW

光源氏が歌に詠んだ、帚木

源氏物語・帚木プロジェクト委員長/門前屋店主

熊谷孝志さん

広拯院【こうじょういん】の門前に建つ、その名も「門前屋」。店主の熊谷孝志さんは、園原の名木「帚木【ははきぎ】」をPRしようと「源氏物語・帚木プロジェクト」を立ち上げて活動しています。

帚木は巨大なヒノキ

帚木は、樹齢1000年以上といわれたヒノキの巨木です。根元の太さは周囲6メートル、高さは22メートルあったと言われています。古い記録としては、平安時代の書物に「『信濃国風土記』(奈良時代)に帚木が紹介されていた」という記述が残っています。昭和33年の狩野川台風で倒木し、今は往時の大きさを想像させる根元部分のみが残っています。

平安時代以降、多くの恋歌に詠まれた

「遠くからはよく見えるが、近づくと林にまぎれて、どの木かわからなくなる」という帚木の特徴をなぞらえて、「近づいても会えない人、会えそうで会えない人」という恋の歌に詠まれてきました。平安から室町時代にかけて、多くの歌に「園原」「御坂(神坂の意)」の言葉と一緒に登場します。

大河ドラマゆかりの地をPR

2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」は、源氏物語の作者・紫式部の生涯を描くストーリーです。この、源氏物語に注目が集まるタイミングで、源氏物語に登場する「園原」や「帚木」をPRするため、プロジェクトを立ち上げました。
源氏物語第2帖「帚木」の巻には「帚木の心を知らで 園原の 道にあやなくまどひぬるかな」と、光源氏が空蝉に贈った和歌が詠まれています。

源氏物語のファンだけでなく、多くの人を魅了してきた帚木。大河ドラマの放送を機に注目が高まり、源氏物語の聖地として、この地を訪れる人は後を絶たないようです。

信濃比叡門前屋
阿智村園原智里3614
0265-44-2258
営業時間 10時~15時(L.O14時)
定休日 水曜日