INTERVIEW

住民が守り続ける
手作り花火

上清内路煙火同志会 会長 / 下清内路煙火有志会 煙火長

櫻井 信和さん / 高村 毅郎さん

阿智村清内路地区で約300年続く手作り花火。平成4年に長野県の無形民俗文化財に指定された清内路の手作り花火について、上清内路煙火同志会の櫻井信和さんと下清内路煙火有志会の高村毅郎さんに話を聞きました。

300年続く奉納花火

(上)清内路の手作り花火は、江戸時代に始まり、住民の手で約300年間守り続けられてきました。毎年10月に上清内路では諏訪神社への、下清内路では諏訪神社と建神社への奉納花火として打ち上げています。
(下)清内路手作り花火の特徴の1つは、住民自身が花火製造・火薬取り扱いの国家資格を取得すること。花火づくりは8月頃に火薬の材料に使う炭を作るためにツツジやサワラを山から切り出すところから。まさにイチから花火を作っています。

上・下の花火にはそれぞれの地域性が

(上)上清内路では、広い境内や対岸の山の中腹を利用して、大掛かりな仕掛け花火を奉納します。メリーゴーランド、花傘と呼ばれる仕掛け花火は、上清内路ならではと言えるかもしれません。宵祭りに合わせて里帰りする家も多く、境内は多くの人でにぎわいます。
(下)下清内路は、3つの囲櫓【かこいやぐら】を建てて仕掛け花火を披露するのが特徴です。囲い櫓は2階建てほどの大きさがあって組み立て式。今も地域の住民総出で祭り当日に建てるのが恒例です。

クライマックスは迫力満点の「大三国」

(上)上・下どちらの地区でもクライマックスを飾るのは、やはり「大三国」ですね。高さ10メートルほどの柱の頂点から火花が高く噴き上げ、火の粉が滝のように流れ落ちる様子は壮観。花火師たちは肩を組んで「オイサ、オイサ」の掛け声をしながら花火の下に飛び込みます。
(下)下清内路の大三国は、諏訪神社と建神社のそれぞれに奉納するので2回あります。大三国に点火する際に、それぞれの神社から導火線を通じて火が走るのは見ごたえ十分。下清内路は境内が広くない分、繊細なイメージの仕掛け花火が多い気がします。

夏からは連日連夜の作業

(上)同志会には現在50人くらい所属しています。それでも地域住民は30人くらいですかね。阿智村、飯田市、南木曽町の方も参加しています。7月の総会から10月の本番までは、竹を切ってきて茹でたり、ツツジの枝から炭を作ったり。火薬すりの作業は2週間ほど毎夜行い、本番前には仕掛けづくりもあります。3か月ほどかかりますから、なかなか参加する皆さんは大変ですね。
(下)僕はアイターンで清内路に移住しました。初めて花火を見た時に「手づくりと呼ぶレベルではない」と圧倒され、有志会に参加することにしました。ひとつひとつの工程を時間をかけて作業するのは、今の時代にはそぐわないかもしれませんが、達成感や感動はひとしおです。最近は材料がそろわない場合もあって試行錯誤する時もありますが、これからも伝統の手作り花火を守り続けていきたいと思っています。

上清内路と下清内路は近いようですが、それぞれ独自に手作り花火を継承してきました。300年の間には継承の危機も幾度か訪れ、今も花火師の高齢化や担い手不足といった課題に直面しています。最近は女性や地区外の花火師も増え、再び活気が生まれています。

上清内路煙火同志会
下清内路煙火有志会
問合せ 阿智村清内路振興室 TEL:0265-46-2001